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イラスト描くときの工程はどんなものがある?
何かを想像するときは、工程が複数あります。文章を作るときも、書類を作るときも、原稿を書くときも初めからぶっつけ本番で描くことはほとんどありません。まずどんなものを書くのか骨格となるものを作って推敲し、段階的に作り上げていきませんか?
イラストも同じです。今回はメイキングを通してそれぞれの工程を追いながら、ポイントとなることを紹介していきたいと思います。大きく分けて
コンセプト
ラフ
下書き
ペンいれ
塗り
と段階があります。描く人によっては行程が増えたり、省略したりしますが、だいたいこんな感じだと思います。
コンセプトでどんな絵を描くか決める
まずはこういうテーマでイラストを描こうと方向性を決めます。私は書き出さないとわけがわからなくなるので
メインはキャラクターor背景or両方か
背景はありorなしか
カメラアングルは正面or俯瞰or煽りか
キャラクターは全身orアップか
キャラクターの特徴となるものは
服はどんなものを着ているか
等を書きなぐります。この段階である程度「どういうイラストを描くのか」を言語化していきます。言語化することで漠然とした想像が定着し、最後まで方向性をブレさせずに進めることができます。完成までの道筋を作るわけです。
このキャラクターは「謎に包まれた暗殺者」という設定なので
キャラクターメイン
背景あり。ミステリアスな雰囲気にしたい。
アングルは俯瞰気味で斜めにする
全身
武器をたくさん仕込んでいるため周りに武器がたくさん転がっている
武器を隠しやすそうな服
というコンセプトでいきたいと思います。
余裕があるときはキャラクターの設定や世界観まで考えると、想像が膨らんでアイデアがでてくるのでお勧めです。
この段階で練りに練りたい方はとことん練りましょう。
ラフで決めたものを形にしてみよう
いよいよ絵を描いていきます。コンセプトで決めたイメージを元に大まかな形を絵に落としていきます。ラフなので気軽にささっと描いていくとなんとなく線に勢いがあっていい絵になるような気がします。
筆者まず人を簡略化したはデッサン人形のようなものを描いて、そこに肉づけしていくような感じで描いていきます。
人物のポーズを描くときに気を付けたいポイントは
背骨の形
骨盤
関節
です。人のバランスを意識するために骨は重要です。また、骨の関節部分によって体は動くので、関節をとらえて描くことが大切です。
ラフはテキトーに書いているように見えて、骨を意識して簡略化して書いています。
人の体の構造をある程度理解していれば、いろんな応用が利きますので、これを機に勉強してみてはいかがでしょうか。
筆者は下書きまでアナログで描いてからパソコンに取り込んでいるのでこのまんま下書きに進みます。
下書きで細部を詰めていく
ラフでは顔や筋肉や服、手など細かい部分は描きませんでした。なので簡略化したところを詰めていきます。ペン入れ時に迷わないようできるだけ細かく描きこんでます。
書いたらちょくちょく反転させてみましょう。反転するとデッサンの狂いが鮮明になります。左右の目で大きさや目線がおかしかったり、手が小さいと感じたら修正しましょう。
アナログで描いている人は紙を裏返して光で透かせば反転して見えます。そんなときはトレース台を使えば楽に修正ができます。アナログで続けるならいろいろお世話になることが多いものなのでお勧めです。
余談ですが、「浦沢直樹の漫勉」という番組に登場された「うしおととら」の藤田和日郎さんは下書きではなにもないところにペン入れで腕を描かれていて、衝撃を受けました。気になる方はぜひ。
ここで簡単に色を付けてイメージを固めます。
ペン入れで線画を描いていく
下書きをもとに線画を描いていきます。
線画をもとに色をいれていくので丁寧にいきます。ポイントとして、
よれよれな線にならないようにサッサっと描く。
線が太い部分と細い部分を使い分ける。
キャンバス(紙)を回転させて描きやすい角度にする。
を意識します。
筆者はここからデジタルなので下準備をしています。
下描きをスキャンする
↓
レベル補正でグレー部分を飛ばして線画を鮮明にする。
↓
白い部分を透明にしてラスタライズする。
↓
不透明度を20~30くらいにする。
↓
線画用のレイヤーを作る。
以上で準備完了です。
筆者はclip studioを使っているので、
ベクター線…拡大、縮小しても劣化しない。描いた線を編集できる。
手振れ補正…手のブレやゆがみを補正してくれる。
という便利な機能がありますので活用します。
「肌」「髪」「服」等、部分ごとにレイヤーを分けておくと消したくない線を消してしまった、なんてことが起こりませんのでレイヤーは細かく分けておきましょう。
いよいよイラストを塗っていく
イラストを決定付ける段階です。線画をもとに色を入れ、部分ごとに影や光を入れていきます。
下塗りで色を流し込む
ベースとなる色を入れます。いれたい色をいれたい箇所にいれていくだけですが、ただ闇雲にいれたらこのあとの作業が面倒なことになってしまうのでポイントを押さえましょう。
パーツごとに細かくレイヤーを分ける
塗り残しや隙間を作らないように埋める
というところです。どちらも不十分だとこの後の作業で困ることになります。
とならないようにしましょう。
影を入れる
イラストの光源(光が差し込む方向)を意識して、光が当たってない箇所などに影を入れていきます。塗るものの素材によって塗り方は変わるのですが、大体はベースの色より明度と彩度の低い色を二段階くらいいれていきます。
例えば肌は髪で隠れる額や首、顔の凹凸部分、服の近くなどに影ができます。ちなみに2段階目の影色には少し赤を入れています。そのほうが血色がよくなって健康的に見えるからです。
ハイライトであちこち光らせる
先ほどの光源から、光が当たっている部分などを光らせます。レイヤーは発光やスクリーン、オーバーレイにしています。筆者は、人物のハイライトは全体的に抑え気味にして髪と目はしっかり光らせます。目出せたいことと、一番個性を出しやすいところだと思うからです。
背景を描く
人物がひとまず終わったら背景に移ります。今回は大部分が空と雲なので、パースやらはあまり考慮してません。
近くにあるものを細かく、遠くのものをおおざっぱに描くと遠近感がでます。
仕上げで微調整
全体を整えたり、最後にあちこち足したりしています。変更したところは
人物の右側に乗算レイヤーで影を塗り、濃くしました。
人物を塗ったレイヤーを全てコピーし、レイヤーをスクリーンにして不透明渡を下げました。こうすることで人物全体が発光して見え、背景に埋もれず印象的に見えますね。
これで完成です。
まとめ
かなり駆け足になってしまいましたが、イラスト制作の流れを説明させて頂きました。工程ごとにいろいろ語りたいことがあったのですが、量がえらいことになってしまうので、めちゃくちゃカットしてしまいました。また工程ごとに記事を作ってみたいと思います。
なんとなくイメージしたことを形にすることはすごく難しいです。描き慣れた人でも何の準備も無しにたどり着きたいところにいける人はわずかです。
栗宮ノート
なるほど!
◇【コンセプト】イラストの方向性、道筋、終着点を決める。
◇【ラフ】形にする
◇【下書き】推敲する。
◇【ペンいれ】【塗り】本番
と段階を踏んで準備し、少しずつ作り上げていくことが、描きたいものやイメージに近いものを描くために大切ということですね。
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